変形性膝関節症「痩せてください」と言われた人へ 膝痛を軽減するダイエットと運動
膝が痛くて痛くて、
歩くのも痛い
階段上り下りも痛い
正座なんてできない
ずっと腰が重くて、なかなか行かなかった整形外科を受診したら、
変形性膝関節症ですね。
痩せてください。
痩せなければ60歳になったら手術するしかないですよ。
と言われた。
痛くて病院に行ったのに、薬を出すだけであとは痩せろ。
痩せなければ手術するのも怖いですよね。
辛いですよね。
手術する前に何かできることはないか?
痩せるといわれたって、どうしたらいいのかわからない。
そもそも、膝が痛いから運動なんてできない。
あと、10年・20年この痛みと付き合っていくしかないのか。
そう絶望してくる人は少なくありません。
結論からいうと、変形した軟骨そのものは元に戻りません。
しかし、
- 体重減少による負担軽減
- 脂肪による炎症の減少
- 筋力向上による関節保護
によって痛みの軽減が期待できます。
実際に体重の5〜10%減少で症状改善が報告されています。
ダイエットで痛みは緩和されるのか?
変形性膝関節症と診断されて、もう膝関節が変形しているのにダイエットして本当に痛みが緩和されるの?
そう思う方も多いと思います。
- 体重減少で膝関節への負担が軽減する
- 体脂肪が減ることで炎症を抑制できる
- 一度すり減った軟骨は再生しないため、筋力アップし今残っている軟骨を大切にすることが大切
体重減少で膝関節への負担が軽減する
体重が1kg増えると膝関節への影響は3~4kgあるといわれています。
なので、例えば5kg痩せれば膝関節への負担は15kg~20kg軽減します。
1歩歩くたびに負担が軽減されているので、1日の活動量で考えると、かなりの負担軽減につながります。
階段や床からの立ち上がり動作では、もっと負荷がかかるのでより効果が出やすいです。
注意しなければいけないのは、じゃあ痩せよう!と思って、
歩く事で膝が痛い人が、ウォーキングやジョギングを始めることです。
すでに痛い動作で運動を始めてしまうと、膝軟骨はその負荷に耐えきれていないので、痛みを増発してしまいます。
ただやみくもに頑張ってはいけないのです。
痛みの出ない動作で繰り返すことで、活動量をあげ運動していく事が大切です。

自身の痛みのレベルに合わせて、痛みのない運動を繰り返していくのがポイントです。
体脂肪が減り炎症が抑えられる
体重が減れば膝関節への負担が減少する。
これは、間違いではありません。大前提です。
でも、痛みの原因は体重だけではないのです。
体脂肪も関係してくるのです。
近年では、国内だけではなく海外諸国でも、過剰な脂肪が内臓脂肪に蓄積されると、炎症物質である脂肪毒性が血流にのり、関節に到着すると炎症反応が起こることについて研究が盛んにされています。
また、脂肪による炎症は痛みを引き起こすだけではありません。
近年では、炎症が長期間続くことで軟骨の破壊や変形性膝関節症の進行にも関与していると考えられています。
そのため、体重管理は痛みを減らすだけでなく、将来的な関節の保護にもつながる可能性があります。
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を放置してしまうと、高血圧や糖尿病のリスクを高めるだけではなく、変形性膝関節症の進行もしやすくなってしまうのです。
運動療法・食事療法を取り入れて体脂肪の減少を考えていく事が、膝の痛み軽減にもつながっていきます。
滑膜が炎症して水が溜まる
変形性膝関節症の痛みは膝軟骨から出ているのではないのです。
実は膝軟骨には、痛みを感知する神経や血管が通っていないのです。

関節を包み込んでいる「滑膜」の炎症が痛みの悪循環を生んでいるのです。
滑膜は、本来は膝関節の動きを円滑にするために関節液を出しています。
そこに脂肪毒性による炎症が加わることで、滑膜が刺激され滑膜炎が起こります。
滑膜は炎症を取り除こうと、より関節液を作り出します。
そして、溜った関節液が再び滑膜を刺激し、悪循環に陥れます。
それが、「膝に水が溜まる」という状態を作っているのです。
よく、外来でも「水を抜くと、癖になってまた水がたまるのよね。」
といわれる方がいますが、勘違いなのです。
イメージとしては、正常時がスケートリンクの上に水を撒いて、ツルツルになった状態です。
変形性膝関節症になると、スケートリンクがガタガタになり、滑らかに滑るために、大量の水をまいている状態です。
膝関節の中は袋に包まれているので、関節液がどんどん作られると、再吸収が追い付かず袋がパンパンになり曲げると痛くなります。
無理のない運動で筋力アップ・体脂肪減少で痛み軽減目指しましょう
膝関節にすでに痛みが出ている状態で、高負荷の運動を繰り返すと、痛みを悪化させてしまいます。

滑膜炎の影響により、活動量が減少することは、自然の事です。
膝が痛いから歩きたくない、動きたくない。と誰でも考えてしまいます。
しかし、活動量が減れば、消費カロリーが減り、脂肪が増えます。
脂肪が増えると脂肪毒性が増え、炎症が増え痛みが増えるという悪循環になってしまいます。
そして、痛みで安静にしすぎると膝が固まってしまいます。
膝の周りの皮膚も筋肉も靭帯も固まってしまい、動かせる範囲自体が狭まってしまいます。完全に固まってしまうと、戻せないので、固まりきる前に動かしていく事が大切です。
膝に負担の掛けない姿勢での筋トレを行い、筋肉量をアップさせていく。
食事によって体重をコントロールすることも大切です。
脂肪毒性を抑える食事
抗酸化物質を多く含んだ食材を摂取していく事が大切です。
- 青魚(マグロ・サンマ・いわし・サバなど)
- キノコ
- 卵
- 緑黄色野菜
- ナッツ
など
サラダ油や加工食品を多くとりすぎると、体内で炎症しやすくなるため、意識的に魚を食べるようにしたり、オリーブオイルを使用するようにしていく工夫が必要です。
食事による減量
日々の食事を整えることが基本です。
- 油はオリーブオイルやごま油を選ぶ
- 炭水化物は朝と昼にしっかり摂る
- 夜の糖質は控えめにする
- たんぱく質を毎食20〜30g摂る
- ビタミン・ミネラルを毎食意識する
- 昼食を最もボリュームのある食事にする
- 間食が増える場合はたんぱく質不足を疑う
- プロテインやサプリで不足を補う
- 冷凍宅配弁当を活用して継続しやすくする
さらに詳しい内容は、こちらの記事をご覧ください↓



体重の5%減少で痛みの軽減に有効性があるという論文も多数でているので、
まずは5%の減量を目指しましょう。
80kgの人なら、まずは4kgの減量を目指しましょう。
食事を極端に減らすだけのダイエットでは筋肉量も減ってしまいます。
特に太ももの筋肉は膝関節を支える重要な筋肉です。
「体重を減らしながら筋肉を維持する」ことが大切です。
食べずに痩せるのではなくて、しっかり食べて痩せることが大切になってきます。
脂肪タイプ別対策
内臓脂肪型
内臓脂肪は皮下脂肪に比べて脂肪毒性が作られやすく、膝関節の炎症が起こりやすい状態です。
炎症物質の影響により、軟骨の破壊や変形の進行が起こりやすいと考えられています。
注意したい人:健康診断で高脂血症・中性脂肪・血圧が指摘されている人
対策:しっかりとした食事の見直し・有酸素運動によるエネルギー消費
皮下脂肪型
体重増加により、関節摩耗が大きくなりやすいです。
皮下脂肪は一度つくと落ちにくく、膝関節への負荷が大きくなりやすいです。
注意したい人:女性
対策:筋力トレーニングで負荷の軽減
内臓脂肪・皮下脂肪混合型
特に女性の閉経後は内臓脂肪がつきやすいので混合型になりやすいです。
対策:食事と運動の両方から総合的なアプローチが必要
まずは、自分がどのタイプかを見極めて正しいアプローチをしていく事が大切です。
筋トレを頑張っても、タンパク質が不足していると、筋肉は作られません。
プロテインを飲んで補っていきましょう。
体組成計も利用し、自分の現状をとらえていきましょう。
変形性膝関節症の人は腰と股関節が硬い可能性があるかも?
実は膝だけを見ていても改善しないケースがあります。
膝関節は股関節や足関節と連動して動いているため、腰や股関節の硬さが膝への負担を増やしていることも少なくありません。
私の臨床経験でも、変形性膝関節症の方は、膝だけでなく、腰痛があったり、股関節周囲の筋肉が非常に硬くなっていることが多いと感じています。
特に、脂肪タイプが皮下脂肪型の方は股関節周囲や腰回りが硬くなっている印象がありました。
そのため、皮下脂肪型のタイプは、膝関節だけでなく、股関節や腰椎へのアプローチも必要になってくる場合が多いです。
内臓脂肪型の方は、他の関節への負担は多くは感じませんでしたが、逆に治療の際は、膝関節と有酸素運動や食事へのアプローチも大切にしていました。
変形性膝関節症 自宅でできる自主トレ
こちらは膝と腰に対する基本の運動です。


変形性膝関節症と診断された方は追加の筋トレをしていきましょう。
まずは膝への負担が少ない運動から始めましょう。

痛みが強い状態で無理に歩くよりも、寝た姿勢で筋力を維持する方が安全で効果的です。



立ち上がりで痛みがある人は椅子に座った状態での膝伸ばしを行いましょう。
つま先を立てて、膝を伸ばし切るのがポイントです。

病院に行くほどではないけど、時折膝に違和感がある方は、ハーフスクワットを追加しましょう。

腰不安がある人はこちらを追加








股関節を鍛えると膝関節の負担も軽減されやすくなります


まとめ
変形性膝関節症と診断されても、
すぐに手術が必要になるわけではありません。
そして、レントゲンで変形があると言われても、変形の程度と痛みは必ずしも一致しません。
だからこそ、体重管理や筋力トレーニング、食事改善には大きな意味があります。
体重を減らすことで膝への負担を軽減でき、
脂肪による炎症を抑えることで痛みの改善も期待できます。
大切なのは、
「痛いから動かない」
ではなく
「痛みの出ない範囲で動く」
ことです。
無理な運動ではなく、
自分に合った運動と食事改善を積み重ねることで、
10年後・20年後の膝は大きく変わります。
今できることから少しずつ始めていきましょう。




