変形性股関節症とダイエット 体重だけではない!体脂肪が股関節痛を悪化させる
股関節が痛くて歩くのがつらい。
病院で「変形性股関節症ですね」と言われた。
「体重を減らしてください」
「筋トレをしてください」
「進行すると手術になるかもしれません」
そう言われても、
何をすればいいのか分からない。
そんな方も多いのではないでしょうか。
残念ながら現在の医学では、すり減った軟骨を元に戻すことはできません。
しかし、
- 体重減少による負担軽減
- 脂肪による炎症の減少
- 筋力向上による関節保護
によって痛みの軽減が期待できます。
そして、変形性股関節症にとって、これ以上悪化させないことがとても大切なのです。
実は変形性股関節症は、単に軟骨がすり減るだけの病気ではありません。
近年では、体重増加だけでなく、体脂肪による慢性炎症も関係していることが分かってきています。
この記事では、変形性股関節症の原因や治療法だけでなく、なぜダイエットが股関節の痛み改善につながるのかについて、どんな運動がおススメなのか、理学療法士の視点から分かりやすく解説していきます。
変形性股関節症とは
股関節は体の中で一番大きい関節です。
股関節は大腿骨が骨盤のくぼみにはまり込む形をしています。
股関節の軟骨がすり減り、関節内で炎症や変形が起こることで痛みや動きの制限が生じる病気です。
初期には、立ち上がりや歩行時に違和感や軽い痛み程度ですが、どんどん進行してしまい、日常生活においても痛みが伴うようになります。
早期発見・早期治療が大切です。
変形性股関節症原因 一次性・二次性
一次性 (2割)
明らかな基礎疾患がなく、加齢による軟骨の摩耗や長年の関節への負担によって発症します。
リスク因子
- 肥満:BMI25以上
- 加齢:60代以降
- 長年の重労働・スポーツ
- 女性ホルモンの低下
二次性(8割)
二次性とは、股関節の形状異常や過去のケガなど、何らかの原因が背景にあって発症するタイプです。
- 臼蓋形成不全
- 先天性股関節脱臼 が多いです。
リスク因子
- 臼蓋形成不全(最も多い)
- 先天性股関節脱臼
- 大腿骨頭壊死
- 関節リウマチ
- 外傷後の後遺症
- ペルテス病
- 大腿骨寛骨臼インピンジメント
先天性股関節脱臼
股関節が先天的に適合しておらず、脱臼している状態を先天性股関節脱臼と呼びます。原因として、子宮内での異常姿勢、遺伝的素因(家族性)などが考えられています。
臼蓋形成不全
臼蓋形成不全は、若い頃は自覚症状がなくても、中年期以降に徐々に股関節の痛みとして現れることが多いため注意が必要です。「生まれつき股関節が浅い・形に問題がある」と言われたことがある方は、定期的な経過観察をお勧めします。
年代別リスクと注意点
20代30代 自覚症状がなくても要注意
この年代では、軟骨もまだ残っており、痛みもほとんど出ていないのも珍しくはありません。
しかし痛みがないから問題がないのではなく、静かに進行していきます。
先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全と診断されたことがある方は、とにかく今が一番大事です。
今のうちに軟骨を温存できるように生活していきましょう。
40代 症状が現れやすい時期
歩いていると、股関節に違和感を感じる
床からの立ち上がりの際に痛みが出るなどの症状が出始める方も多いです。
ここで、初めて病院にかかり変形性股関節症と気づく方も多いです。
骨や軟骨の維持に影響が出やすい時期になってきますので、体重管理・筋トレ・生活様式のチェックが大切になってきます。
50代以降
軟骨がかなりすり減ってきており、歩くたびに痛みが出る、
足の長さが左右違う
などの症状が出てきやすく、痛みが強くなると手術の検討が始まります。
変形性股関節症の治療
変形性股関節症の治療としては、保存的治療と外科的治療があります。
通常は保存的治療で経過を見ていき、症状の改善が認められなければ、外科的治療として手術療法が適応となります。
保存療法
保存的治療では、変形性股関節症が進行しないために、日常生活の中での股関節の負荷を減らす生活に変えていきます。
筋力強化・関節可動域拡大
股関節の変形が進行してしまうと、痛みが出て、動かさなくなり、筋力も落ちてしまいます。
そして、もっと痛みが増大してしまうという悪循環に陥ってしまいます。
股関節周囲の筋肉を鍛え、関節が硬くならないようにしておくことが、股関節の負担を軽減させていくのにとても大切です。
そして、重度の変形性股関節症の方は、股関節だけでなく、骨盤・腰椎の動きも非常に硬くなっているということです。
長年股関節の痛みと戦ってきたので、股関節を動かせないことにより、近くの関節にまで影響を及ぼしているのです。
体重コントロール
歩行時は股関節に体重の3倍の負荷がかかるといわれています。
体重80㎏の人なら、240㎏の負荷が片方の股関節にかかってきます。
ジョギングやジャンプでは10倍以上かかるともいわれています。
体重を減らし、この負荷を軽減することにより、軟骨の温存ができるのです。
日常生活の習慣を見直し
股関節への負担を軽減させることがとても大切。
気を付けたいのが、通常ですと、健康にいい・ダイエットに効果的と思われていることが変形性股関節症の人にとって悪影響になることもあるということ。
- 長距離歩く
- 階段昇降
- ジョギング
- 和式トイレ
などは股関節に負荷の多い動作になるのでなるべく避けるようにしていきましょう。
杖の使用
杖の使用はとても効果的です。
通常のT字杖タイプですと、歩行の際に体重の負荷の1/6程度軽減してくれます。
長距離歩かなければいけない時や痛みがある際は、ぜひとも活用していきたいです。
外科的治療
人工股関節置換術
体重だけじゃない!体脂肪が股関節の炎症を引き起こす
体重が減れば股関節への負担が減少する。
これは、間違いではありません。大前提です。
でも、痛みの原因は体重だけではないのです。
体脂肪も関係してくるのです。
以前は体重増加による物理的な負担だけが原因と考えられていました。しかし近年では、脂肪組織そのものが炎症物質を分泌し、関節に影響を与えることが分かってきています。
このような脂肪による悪影響を脂肪毒性と呼びます。
つまり、体脂肪は単なる「体の重り」ではなく、炎症を引き起こす働きも持っているのです。
近年では、国内だけではなく海外諸国でも、過剰な脂肪が内臓脂肪に蓄積されると、内臓脂肪から分泌された炎症性物質が血流に乗って全身を巡り、股関節の軟骨破壊にも影響を与えることが分かってきています。
また、脂肪による炎症は痛みを引き起こすだけではありません。
近年では、炎症が長期間続くことで軟骨の破壊や変形性股関節症の進行にも関与していると考えられています。
そのため、体重管理は痛みを減らすだけでなく、将来的な関節の保護にもつながる可能性があります。
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を放置してしまうと、高血圧や糖尿病のリスクを高めるだけではなく、変形性股関節症の進行もしやすくなってしまうのです。
運動療法・食事療法を取り入れて体脂肪の減少を考えていく事が、股関節の痛み軽減にもつながっていきます。
変形性股関節症のダイエット
変形性股関節症では、
- 体重を減らす⇒関節への負担を軽くする
- 体脂肪を減らす⇒股関節の炎症を抑える
この二つが、痛みの軽減や関節を守るために重要なのです。
- 食事の見直しを行い、体重管理をする。
- 有酸素運動により体脂肪の軽減を目指す。
- 筋力トレーニングで股関節を支える筋肉を強くする
ことが大切です。
ただし、食事量を減らすだけのダイエットでは筋肉まで減ってしまい、かえって股関節への負担が増えることがあります。
そのため、十分なたんぱく質を摂取しながらダイエットを行うことが重要です。食事だけで不足する場合は、プロテインを活用するのも一つの方法です。
無理のない運動で筋力アップ・体脂肪減少で痛み軽減目指しましょう

変形性股関節症をすでに発症している状態で、高負荷の運動を繰り返すと、痛みを悪化させてしまいます。
痛みの影響により、活動量が減少することは、自然の事です。
痛いから歩きたくない、動きたくない。と誰でも考えてしまいます。
しかし、活動量が減れば、消費カロリーが減り、脂肪が増えます。
脂肪が増えると脂肪毒性が増え、炎症が増え痛みが増えるという悪循環になってしまいます。
そして、痛みで安静にしすぎると股関節が固まってしまいます。
股関節周りの筋肉・靭帯などの組織が固まってしまい、動かせる範囲自体が狭まってしまいます。完全に固まってしまうと、戻すことが難しくなるため、固まりきる前に動かしていく事が大切です。
股関節に負担の掛けない姿勢での筋トレを行い、筋肉量をアップさせていく。
食事によって体重をコントロールすることも大切です
脂肪毒性を抑える食事
抗酸化物質を多く含んだ食材を摂取していく事が大切です。
- 青魚(マグロ・サンマ・いわし・サバなど)
- キノコ
- 卵
- 緑黄色野菜
- ナッツ
など
サラダ油や加工食品を多くとりすぎると、体内で炎症しやすくなるため、意識的に魚を食べるようにしたり、オリーブオイルを使用するようにしていく工夫が必要です。
食事による減量
日々の食事を整えることが基本です。
- 油はオリーブオイルやごま油を選ぶ
- 炭水化物は朝と昼にしっかり摂る
- 夜の糖質は控えめにする
- たんぱく質を毎食20〜30g摂る
- ビタミン・ミネラルを毎食意識する
- 昼食を最もボリュームのある食事にする
- 間食が増える場合はたんぱく質不足を疑う
- プロテインやサプリで不足を補う
- 冷凍宅配弁当を活用して継続しやすくする
さらに詳しい内容は、こちらの記事をご参照ください↓



食事を極端に減らすだけのダイエットでは筋肉量も減ってしまいます。
「体重を減らしながら筋肉を維持・増加する」ことが大切です。
食べずに痩せるのではなくて、しっかり食べて痩せることが大切になってきます。
股関節エクササイズ
有酸素運動を紹介する際、私は普段、水泳や水中ウォークを積極的にはおすすめしていません。
もちろん、水泳や水中ウォークは運動効果が高く、健康づくりにも優れた運動です。
ただし、プールという特別な環境が必要になるため、継続しにくい方も少なくありません。
私はできるだけ、気軽に始められて長続きしやすい運動をおすすめしたいと考えています。
しかし、変形性股関節症の方の場合は話が少し違います。
ぜひとも、週1~2日程度でいいので、お近くのプールに通って運動してください。
変形性股関節症はいかに股関節に負担のかからない有酸素運動をするかがとても大切です。
- 水中ウォーク
- 水泳(平泳ぎ以外)
- エアロバイク
がおススメです。
有酸素運動は脂肪毒性を減らすのにとても有効です。
しかし、有酸素運動だけでは筋力低下を防ぐことができません。
股関節周囲の筋肉が弱くなると関節への負担が増えてしまうため、筋力トレーニングも並行して行うことが大切です。
まずは股関節周囲の筋肉を中心に鍛えていきましょう。






つま先立ち

ハーフスクワット
姿勢が厳しい方は、机や椅子を支えにしてください。

プランク
体幹の固定性もアップしていきましょう。
まずは、10秒キープを目指して。可能な方は、どんどんタイムを伸ばしてください。

ストレッチもとても大切です。
お尻の筋肉・腸腰筋のストレッチ

背骨から骨盤にかけてのストレッチ



まとめ
変形性股関節症は、加齢だけでなく臼蓋形成不全や先天性股関節脱臼などが関係して発症することが多い病気です。
また、近年では体重による負担だけでなく、体脂肪から分泌される炎症物質が痛みや関節変形に関与していることも分かってきました。
そのため、
・適正体重を目指す
・体脂肪を減らす
・筋力を維持する
・股関節に負担の少ない運動を続ける
ことが大切です。
変形性股関節症と診断されたからといって、すぐに手術になるわけではありません。
「もう年だから仕方ない」
「もともとあった病気だから仕方がない」
と諦めず、できることから少しずつ始めていきましょう。
早い段階から食事・運動・生活習慣を見直し、股関節を長く守っていきましょう。




