体脂肪とは?体脂肪率・内臓脂肪の目安と減らし方を理学療法士が解説
「体重はそれほど変わっていないのに、お腹周りが気になってきた」
「昔より体脂肪率が上がってきた」
「健康診断で肥満と言われた」
そんな変化をきっかけに、体脂肪について調べている方もいるかもしれません。
体脂肪を減らしたいけれど、何から始めたらいいかわからない…
そんなふうに、体脂肪について気になっている方も多いのではないでしょうか?
ダイエットというと、「体脂肪は少ないほどいい」と思ってしまいますよね。
でも、実は体脂肪は、私たちの体にとって必要なものでもあります。
では、体脂肪にはどんな役割があるのでしょうか?
そして、どこからが「増えすぎ」で、なぜ内臓脂肪は健康に影響するのでしょうか?
この記事では、体脂肪の基本から、体脂肪率の目安、脂肪が増えすぎたときに起こること、
そして体脂肪を減らすための方法まで、理学療法士の視点からわかりやすく解説します。
体脂肪とは何か
体脂肪とは、体の中に溜め込まれた脂肪を合わせたものです。
食事をして、体全体でエネルギーを消費し、余ったエネルギーを脂肪として皮下や内臓の回りなどに溜め込んでいきます。

皮下脂肪や内臓脂肪がほとんどですが、そこに溜め込みすぎると、余った脂肪は、肝臓や筋肉内などに蓄えられていきます。
体に溜め込んだ脂肪を合わせて体脂肪と呼びます。
体に溜め込んだ体脂肪の量を体脂肪率で表します。
皮下脂肪と内臓脂肪の役割

皮下脂肪
食事で余ったエネルギーの多くは、まずは皮下脂肪に蓄えられやすいです。
そして、一度蓄えられると落ちにくいという性質があります。
皮下脂肪は、内臓脂肪に比べて生活習慣病のリスクが比較的低いとされています。
しかし、皮下脂肪であっても、溜め込みすぎは、健康に影響を及ぼす可能性はあります。
内臓脂肪
余った脂肪は皮下脂肪・内臓脂肪に蓄えられます。
内臓脂肪は一度つき始めたら、蓄えられやすく、消費もしやすいのが特徴です。
異所性脂肪
体が安全に取り込める皮下脂肪・内臓脂肪の量は個人差があります。
皮下脂肪・内臓脂肪に蓄えきれなくなった脂質が、
肝臓や筋肉などに蓄積すると、これを異所性脂肪と呼びます。
脂肪肝や、さしの入った肉がこの状態です。
異所性脂肪が蓄積すると、細胞の働きに悪影響を及ぼし、脂肪毒性などにつながりやすくなります。
そして、生活習慣病に繋がりやすくなります。
脂肪毒性や病気が進行するメカニズムについての詳しくはコチラ↓をご参照ください。

内臓脂肪はなぜ「悪者」扱いされるのか?
本来なら、生きていくのに必要不可欠な内臓脂肪です。
しかし、内臓脂肪がたまりすぎると、体に様々な悪影響を催してきます。
体脂肪率の目安

【男性】男性は10〜20%前後が健康的とされ、25%を超えると肥満に分類されます。
【女性】20〜30%前後が健康的です。
女性はホルモンの関係や妊娠・出産に必要なため、男性よりも約10%高く設定されています。
皮下脂肪率の目安

【男性】標準値は 8.6% 〜 16.7% 未満 です。
【女性】女性の標準値は 18.5% 〜 26.7% 未満 です。
健康的な内臓脂肪レベル
内臓脂肪レベル基準表(男女共通・全年齢)

内臓脂肪は加齢で増えやすいですが、健康を守るための「理想の数値(標準)」は年齢・性別に関わらず一律です。
性別・年齢関係なくなレベル9.5以下を維持できるようにしていきたいです。
*レベル10.0は、CTスキャンで測定した際の内臓脂肪面積「およそ100cm²」に相当するよう設定された目安です。
*医学的な診断値ではありません。
*体脂肪・皮下脂肪率・内臓脂肪の判定基準は、測定機器や資料によって異なる場合があります。あくまで目安としてご覧ください。
メタボリックシンドローム
内臓脂肪の断面積が100㎠を超えると、生活習慣病のリスクが高くなります。

CTのスライス1枚が100㎠は、目安としてだいたい、手のひら1枚分の面積です。
これが、手のひら1枚分の面積と聞いても、イメージしにくいですが、
お腹の立体で考えると、かなりの量となります。
しかし、普段CTなんて取らないし。
ということで、日本では健康診断で腹囲を計ることに決めました。
腹囲は、男性85cm以上 女性90cm以上
これに加えて、
①血圧
②血糖
③脂質
の3項目のうち、2項目以上に基準値以上の異常があると、メタボリックシンドロームと診断されます。
なぜ女性の方が腹囲の基準が大きいの?
女性は、男性に比べて、皮下脂肪に脂肪が溜め込める量が多いのです。
体脂肪率の基準値が女性の方が高いのも、皮下脂肪が多いからです。
女性は、月経・妊娠・出産などホルモンの関係も影響しています。
内臓脂肪の面積が100㎠(内臓脂肪レベル10以上)に達すると
3大危険因子の代謝異常が重なりやすい状態です。

そして、内臓脂肪が増えれば増えるほど、ドミノ倒しのように、次々と重なっていき、
心筋梗塞や脳梗塞といった、命に係わる病気のリスクが高くなります。
脂肪細胞が「悪玉ホルモン」を大量に出し始める

単に脂肪の「重さ」や「見た目」が問題なのではありません。
100㎠を超えるほどに内臓脂肪がパンパンに膨らむと、
脂肪細胞から分泌されるアディポカインなどの物質のバランスが崩れ、体にさまざまな影響を及ぼします。
こでは、わかりやすく「悪玉アディポカイン」と表現します。
内臓脂肪が肥大化すると、体内では悪循環が一斉にスタートします。
- インスリンを効きにくくする
血糖値を下げるホルモン「インスリン」の邪魔をする物質が増えるため、血糖値が下がりにくくなり、糖尿病のリスクが急上昇します。 - 血圧を上昇させる
血管を収縮させる物質が過剰に分泌され、心臓に負担がかかり、高血圧を引き起こします。 - 血栓をできやすくする
血管の中に血の塊を作りやすくする物質が増えるため、血管が詰まりやすくなり、動脈硬化・脳梗塞・心筋梗塞の引き金になります。 - 善玉ホルモンの減少
本来、血管の炎症を抑えたり、機能を保つことなどに関わるはずの「善玉ホルモン(アディポネクチン)」の分泌が、内臓脂肪が増えることで逆に激減してしまいます。
体の限界値!?脂肪毒性が発生!
脂肪毒性は、単に「脂肪が太って乗っかっている」状態ではなく、
細胞の内部が油の毒によって自滅していく現象のことを言います。
そして、その影響は、糖尿病や脂肪肝、心血管疾患など、さまざまな病気との関連が研究されています。

脂肪毒性について詳しくは、コチラの記事をご参照ください。

体脂肪が低すぎると生命の危機が
体脂肪も低ければいいというものではありません。
心臓、脳、肝臓などの細胞膜や、神経を保護するためにも必要ですし。
女性では、「月経・妊娠・出産」のための生殖機能を維持しなければなりません。
体脂肪は、エネルギーを蓄えるだけでなく、ホルモンの働きや体温維持、細胞や組織の機能などにも関わっています。
極端な食事制限や過度な運動によって、必要なエネルギーや体脂肪が不足すると、月経異常や骨量低下など、健康に悪影響が出ることがあります。
メディアなどで紹介されるトップアスリート(ボディービルダーや格闘家など)
憧れのあの人は体脂肪5%だから、私も目指そう!と思うのは、少し立ち止まって考えましょう。
「体脂肪率は低ければ低いほどいい」という極端な考え方には注意しましょう。
内臓脂肪の落とし方

ご相談に来られる方の中には、
高脂血症だから、お米を食べないようにしよう!と言って、
極端な食事制限をして、短期間で効果を求めてしまう方が時折います。
炭水化物を減らして、脂質異常症のデータは改善に見られても、
逆にコレステロールが高くなってしまった方もいます。
お酒においても、ビールや酎ハイは糖質がかなり多く含まれていることを認識してない方もちょこちょこいます。
または、認識しても「やめられない」という方も沢山います。
単なる習慣なのか、食事量や栄養バランス、睡眠やストレスなどが関係しているのかを、一緒に確認していくことも大切です。

男性か女性か
年齢
生活習慣
子供の有無など、様々な面を考慮していき、
自分にとって、適切で毎日続けられる仕組みを作っていく事が、
ダイエットにおいてとても大切になっていきます。
速攻で効果を出すことよりも、ゆっくりでも毎日続けられることを、
見つけていく方が難しいですが、大切で効果はずっと長く続きます。
食事
体脂肪を落としていくには、基本的には食事がとても大切になってきます。
1食1食の積み重ねを大切にしていく必要があります。
- 油はオリーブオイルやごま油を選ぶ
- 炭水化物は朝と昼にしっかり摂る
- 夜の糖質は控えめにする
- たんぱく質を毎食20〜30g摂る
- ビタミン・ミネラルを毎食意識する
- 昼食を最もボリュームのある食事にする
- 間食が増える場合はたんぱく質不足を疑う
- プロテインやサプリで不足を補う
- 冷凍宅配弁当を活用して継続しやすくする
- さらに詳しい内容は、こちらの記事をご参照ください↓




運動
内臓脂肪は、比較的代謝が活発な脂肪です。
だからといって、いきなり激しい運動をする必要はありません。
毎日の生活の中で運動を少しずつ加えていきたいです。
膝や腰に痛みがある方が、無理に走ったりするのではなく、
自分の体の状態に合わせて、できる運動から少しずつ始めていく事が大切です。
- エスカレーターを階段に変える
- デスクワークなら座りながらつま先の上げ下げ・膝の曲げ伸ばし
- 立ち上がった時に、軽くアキレス腱を伸ばす
- お風呂上りはストレッチをするなど
- 少しずつ運動を加えていきましょう。
それに加え、週末に趣味になりそうな運動を設けるとより効果が得やすいです。
- ジム
- マラソン
- 自転車
- ゴルフ
- バレーボール
- サッカー
- 登山
- 子供と公園で鬼ごっことかでもOK!
- 少しずつ運動を加えていきましょう。
そして、ストレッチ・筋トレも美容・健康のためには欠かせません。








まとめ
体脂肪は、単に「太る原因になる邪魔なもの」ではありません。
エネルギーを蓄えたり、体温を保ったり、外からの衝撃から体を守ったりと、私たちの体にとって大切な役割があります。
一方で、体脂肪が増えすぎると、特に内臓脂肪や異所性脂肪の蓄積によって、糖尿病や脂肪肝、動脈硬化など、さまざまな生活習慣病との関連が深くなります。
また、体脂肪は「低ければ低いほど健康」というわけでもありません。
大切なのは、体脂肪を極端に減らすことではなく、自分の年齢や体の状態に合わせて、適切な範囲を保つことです。
もし体脂肪が増えてきたと感じたら、まずは食事や運動、睡眠など、毎日の生活習慣を少しずつ見直してみましょう。
そして、膝や腰などに痛みがある方は、無理に激しい運動をする必要はありません。
痛みや体の状態に合わせて、できることから始めることが大切です。
体重だけを見るのではなく、
「どこに脂肪がついているのか」
「体の中で脂肪がどのような影響を与えているのか」
にも目を向けてみてもよいかもしれません。
【参考文献】
・Deurenberg P, Andreoli A, Borg P, et al. The validity of predicted body fat percentage from body mass index and from impedance in samples of five European populations. Eur J Clin Nutr. 2001;55:973-979. doi:10.1038/sj.ejcn.1601254
・日本肥満学会.肥満症診療ガイドライン2022.
・日本糖尿病学会.糖尿病診療ガイドライン2024.
・日本動脈硬化学会.動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版.




